ヘアスタイルに思うこと

私的には毎日穏やかな日が続いています。しかし、世界では色んな事が起きています。私が住んでいる国では、やっとコロナ禍が下火になって来ましたが、ウクライナで起きた理不尽な戦争のあおりを受けて、社会には少なからず不安の声が上がっています。

さて、先日驚いたニュースと言えば、オスカー授賞式におけるウィル・スミスさんの平手打ちです。あっという間に世界中を駆け巡った衝撃的シーンでした。

確かに、クリス・ロックさんの冗談は不謹慎だったかと思います。奥さんのジャダさんの病気を揶揄したのですから。ジャダさんとは病名は違えど、抗がん剤治療をすれば脱毛の症状が出るのはがん患者も同じです。なので、あの事件の話を聞いた時、何ともいえない複雑な気持ちになりました。

なにが理由であれ、衆人が見守る中、暴力に訴えたウィル・スミスさんが悪かったと思います。あんな超有名スターがなんであのようなことをしたのか、理解に苦しみます。

奥さんもさぞかし決まりが悪かったことだろうと思います。自分の病気が原因でこんな騒ぎになり、それによって夫はアカデミー賞授賞式から十年間出席禁止を喰らいました。今後彼を自分の映画に起用しようという映画監督も少なくなったでしょう。大きな代償を払うことになってしまったものです。

私はちょっと不思議に思ったことがあったのですが、

ジャダさんはどうしてカツラや帽子を使わなかったのだろう?

もちろん、あの式における彼女のファッションはとても素敵でした。濃いエメラルド色の裾の長いゴージャスなドレス、それに反して丸坊主で肩を丸出しにした上半身というコントラスト。さすがは女優さん、うっとりするほどスパイシーでゴージャスでした。

でもね、別に坊主頭のままにしなくても、カツラやデザインの面白い帽子を被ってもよくなかったですか?

彼女には、強いポリシーがあったのかもしれません。

「病気がなんだというの! 病気があったって、私は私なの。隠す必要なんかないわ!」

・・・ すごいですね。それは間違ってはいないと思います。でも、私は自分ががんになったばかりの時に見かけた、ある光景を思い出しました。

その日私は、職場の大食堂で昼食をとっていました。そこは複数の会社の人々が利用するところで、面識がない人もたくさんいました。ある中年の女性が同僚とやって来て、セルフサービスのお盆に食べ物を乗せて、近くのテーブルに座りました。私の知らない人たちでした。なんの変哲もない彼女の行動でしたが、ぎょっとしたのは、その女性が坊主頭だったことです。坊主頭といっても、スーパーモデルがしているようなファッションとしてではなく、明らかに病気で禿げているのでした。

私は目を背けてしまいました。彼女はまったく周囲の目など気にせず、恐らくは病気になる前と同じように、同僚とにこやかに談笑しながらランチを食べているのでした。

私は病気だけど、カツラや帽子は暑くて嫌いなの。人に脱毛を見られても気にしないわ! と思っているのでしょう。

でも、彼女は見ている人が居心地悪くなるということには考えが及ばないのでしょうか。・・・おかしな話です。この世には禿げたオッちゃんがたくさんいますが、その人たちが食堂やレストランで食事をしているのを見ても、こんなに嫌な気分になることはなかったと思います。

それはきっと、オッちゃんたちの自然な禿げ頭と違って、彼女の頭は病気を連想させるからだと思います。自分が平気だからといって、ぱっくり開いた傷口を見せて歩いていたら、やはり周囲の人は嫌な気持ちになると思います。

病気も私の一部! 嫌な気持ちになるなんて失礼ね!

と言う気持ちもわかるけれど、周囲に対する気遣いも必要ではないでしょうか。

とはいえ、それを揶揄するというのはやはり間違いだと思います。

病気になると、今まであまり考えなかったようなことまで気になるものですね。

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