がんを理由にエステ施術拒否される

私がこのポッドキャストを続ける理由は一つ。同じくがんサバイバーだった姑から私が受けた励ましを、今度は他の方にも伝えたいから。

がんになるということは、辛いことです。自分の体が苦しいのももちろんだけど、外部から受けた偏見の目に、本当に凹みました。実はこれが、がんになって一番辛かった経験かもしれません。

音声はこちらから:https://anchor.fm/lovemaica/episodes/ep-eug1gt

私が乳がんになった時、一番心の励みになったのは、実際に乳がんに罹ったことがある方の体験談でした。

私の一番身近にいる、乳がん経験者は、姑でした。彼女は、70歳ぐらいの時、乳がんに罹り、抗がん剤治療を体験しました。その後見事に恢復し、元気になりました。

がんが再発した私への、彼女からのメッセージは、このようなものでした。

人は、がんで死ぬのではなく、恐怖で死ぬのよ。

だから、怖がってはだめ。

先のことを考えずに、一日一日を生きることに専念しなさい。

一日、一日、一日ごとに生きていく。その言葉を聞いた時、私の心にはすとんと納得できるものがありました。

そして、それまで恐ろしさに泣いていたのが、急に元気が出てきました。

一日、一日を生きていく。とてもいい言葉です。最近流行の、マインドフルネスに通じるものがあるような気がします。

姑の言葉を聞いてから、前向きな気持ちが戻ってきました。

その姑は残念ながら、昨年2020年5月に86歳で亡くなってしまいましたが、私は彼女に大きな力をもらいました。

私が彼女から生きる勇気をもらったのと同様に、私のこのポッドキャストも、聞いてくださっている方々を少しでも勇気ずけることができるかもしれません。そう思って、これからも続けていきたいと思います。

。。。。。

今日は、がんになったせいで、出くわしたショックな出来事をお話ししてみたいと思います。

乳がん再発の診断を受けた直後のことです。

私はそれより数週間前に、あるエステサロンの予約を入れていました。そのサロンは新しく、私はそこで施術してもらうのは初めてでした。予約を入れた時はもちろん、自分に進行性のがんがあるなんて思いもしませんでした。

がんの宣告を受けてから、私はそのサロンに電話し、乳がんの診断を受けたことを正直に話しました。そして本来なら全身のマッサージをしてもらう予定だったのですが、顔だけのマッサージに変更してもらえるかどうか尋ねました。私は施術(せじゅつ)をキャンセルしてもよかったのですが、直前のキャンセルで悪いかな、と思ったのです。

その時電話に出たエスティシャンは、とても愛想良く、もちろん変更は可能だと答えました。

そして当日、私は初めて訪れるそのサロンのドアを開けました。

すると、小柄な、顔の皮膚がつるつるで毛穴の一つもないような若い女性が、厳し気な面持ちで奥から出て来ました。

私は挨拶しましたが、エスティシャンであろう彼女は不機嫌そうな顔のままで、こう言いました。

うちでは癌の人は受付けることはできません。

私は驚きました。だって、電話口で事情を話したとき、あんなに愛想よくOKしたではありませんか。

彼女によると、エステサロンは、がん患者は手術後5年経たないと施術は受けられないという、エステ業界の規則があるのだそうでした。

電話に出た時の彼女は、そんな規則があることを知らなかったということです。そして、後に規則のことを同僚から聞いたので、施術前日そのことを伝えるために私に電話したのだが、私は電話に出なかったとも言いました。

私は誓って、このエスティシャンから電話を貰ってはいません。電話があったならケータイに履歴が残るはずです。彼女は間違いなく嘘をついているのでした。

しかし、施術拒否と言われては仕方ないので、私はその店を後にしました。エスティシャンの態度は、終始、まるで汚いものでもみるような、蔑んだ冷たい態度でした。

帰り道、私はひどくショックで震えました。他人にそんな態度を取られるのは初めてでしたから。

がんは伝染するものでしょうか? がんの種類によっては、性行為時にウイルスで感染するものもありますが、顔のマッサージで伝染するがんってあるのでしょうか。乳がんは、遺伝性のものもありますが、少なくとも伝染するものではないはずです。

もちろん、がんになったことがない人からすれば、うつらないにせよ、がん患者とわかっている人に触るのが怖いことは理解できます。でも、がん患者というだけで、他人からあんなに冷淡な態度を取られるという事実に、私はショックを受けました。

後に、がん患者の会で出会った女性たちにこの出来事を話しましたが、彼女らの中には闘病中もエステには行ったことがある、という人がたくさんいて、そのエスティシャンの態度は信じられないと言いました。

私はこの出来事を、ネットの口コミサイトに書きましたし、そのサロンからその後もなぜか不定期に届くお知らせメールにも、返信としてその時のことを書きました。

エスティシャンからの返事は、文句を言われたたいていの人がそう答えるように、

不愉快な思いをさせて申し訳ございません。でも私はその出来事は全く記憶にございません。

とありました。

それまでの私は、いろんなエステサロンにちょくちょく行っていたのですが、今後は行きなれた店しか行くまいと固く決心しました。

がんになる、ということは、それまでに体験することのなかった、様々な体験を、よしにつけ悪しきにつけ、することだと言うことができるでしょう。

私はあの時エステサロンで受けた対応を一生忘れないと思います。

それでは、この続きは次回に。皆さん、一日一日を明るく楽しく大切に過ごしましょう!

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